小規模の保育園に勤務するメリットとデメリット
一概に”保育園”といっても、その形態はさまざまです。今回は、小規模の保育園に焦点を当て、詳しく解説していきます。
まず、小規模保育園は園児の人数が少ないため、保育業務が大規模保育園より縮小されることが多いです。年間行事やイベント等の負担も少なく、保育士にとって、働きやすいと感じる大きな理由となっています。そういった理由から人気の小規模保育園ですが、メリットばかりではなく、デメリットも存在します。小規模保育園に勤務するメリット、そしてデメリット、給与面について紹介します。
小規模保育園とは?
小規模保育園は、0~2歳児までの子どもを対象とした施設です。定員は、6~19人までで、家庭的保育と認可保育園の間に当たる施設ですが、小規模保育園の中にも認可、認可外のものがあります。
これまで、19人以下の小規模保育は認可外とされてきましたが、「子ども・子育て支援新制度」が定められるようになったため、市町村の認可事業として認可されるケースも増えてきました。待機児童問題の対策としても、注目されている施設です。
保育園の土地の確保等を理由に、大都市では特に、小規模保育園が増えている傾向にあります。今まで認可外とされていた園もまた、子ども・子育て支援新制度によって、認可されつつあります。
小規模保育園に勤務するメリット
小規模保育事業の場合、子どもの人数に対して多くの保育士を配置しています。その分、1人1人の子どもと向き合う時間が長く、丁寧な保育が可能となります。質の高い保育を提供できるため、保護者との信頼関係を築きやすい職場といえるでしょう。
小規模保育園では、園庭の有無は問いません。そのため、園庭がない施設も多く、運動会等の大きな行事を行っていない保育園も多いです。保育士にとって、行事やイベントが少ないことは業務の負担の軽減に繋がります。
大規模保育園よりも、アットホームな環境の中で保育業務を行うことが可能です。
また、保育方針についても自由な保育園が多いです。子どもたちに合わせた保育活動を行うため、日々、決まったことをするというよりは臨機応変に変化することも可能です。子どもに合わせた遊びを提供できるので、自由にのびのび成長できる場を間近で見ることができます。
小規模保育事業の対象年齢は、0~2歳児となります。乳幼児保育の経験、スキルも磨くこともでき、保育士としての成長も見込めます。
さらに、C型の施設の場合は、保育士資格を保有していなくとも、家庭的保育者として勤務することが可能です。保育士同様の知識、また研修は必須となりますが、資格のない人でもチャレンジできます。
小規模保育園に勤務するデメリット
小規模保育園の多くは、クラスを持つことはありません。人数が限られているため、0~2歳児までの全児童を1つの部屋で保育することが多いです。
保育士同士の連携は取りやすく、仲間意識をもって仕事に臨むことができます。一方で、近しい関係性がデメリットとなることもあります。保育士同士のコミュニケーションを大切にしたい方におすすめです。
3歳児以上のお子さんを預かることはないため、体力的な負担は軽減されますが、業務内容としての幅は狭まります。大きな行事やイベントを経て経験を積んでいく職業でもあるため、やり甲斐を求める方には向いていないかも知れません。
小規模保育園が向いている保育士とは?
小規模保育園は、子ども1人1人と向き合う時間が長くなります。また、成長が著しい0~2歳の児童を見るため、日々の変化に喜びを感じることができます。日々根気よく繰り返し伝えることが苦にならない方、小さな成長を喜べる方に特に向いている職場です。
また保育従事者1人に対して見る子どもの数が少なく、複数の人が担任として子どもたちに携わることが多いです。保育士同士、職員同士のコミュニケーションを図り、お互いに成長していける方に向いているでしょう。
小規模保育園の給与面について
私立保育園に務める保育士の給与は、2017年度の時点で、平均月収が22.9万円といわれています。年収にすると、約324万円となります。(※賞与も含めた金額の平均です。)
対する小規模保育園の給与は、地域によって大きく異なるものの、平均月収は18~22万円程です。
2017年度の内閣府子ども子育て会議資料のデータでは、
・A型 194,688円
・B型 197,123円
・C型 165,514円(家庭的保育者の給与)
となっています。
小規模保育円で高い給与を目指すには?
小規模保育園の給与面は、その保育園によって大きく異なります。認可保育園の場合は国からの補助金も入るため、給与がやや高くなる傾向にあります。また、小規模保育園は初期費用を少なく、施設を立ち上げることが可能です。通常の大規模認可保育園の場合は、約2億円程の初期投資が必要だといわれますが、小規模保育園の場合は、3,000万円程度で改行が可能です。
コストを最大限抑えることができるので、利回りを見ると大規模保育園より利益を上げやすくなっています。またこれにより、人件費や給与面にかけることも可能です。
給与面で不満を感じている方は、「保育士等キャリアアップ研修」を受けてみることをおすすめします。保育士として既に3年以上働いている方であれば、誰でも保育士等キャリアアップ研修を受けることができます。
正社員のみならず、派遣社員、契約社員、パートやアルバイトでも研修が受けられます。新制度になって新設された、副主任保育士、専門リーダー、職務分野別リーダーの役職に就けば、給与面にプラスされます。
・副主任保育士 月4万円
・専門リーダー 月4万円
・職務分野別リーダー 月5,000円
役職に就くためには
役職に就くためには、保育士等キャリアアップ研修の受講が必須です。
また、次の条件をクリアし、保育園より役職を任命される必要があります。
・副主任保育士 経験年数約7年以上
・専門リーダー 経験年数約7年以上
・職務分野別リーダー 経験年数約3年以上
※経験年数とは?
経験年数とは、保育士として働いた年数の合計となります。1つの園でクリアする必要はありません。
保育士等キャリアアップ研修は、以下の8つの分野があります。分野毎に受講が可能です。
①乳児保育
②幼児教育
③障害児保育
④食育・アレルギー
⑤保健衛生・安全対策
⑥保護者支援・子育て支援
⑦保育実施
⑧マネジメント
・副主任保育士 ⑧マネジメントの他に、3分野以上を受講
・専門リーダー 4分野以上を受講
・職務分野別リーダー ①~⑥の内、1分野以上を受講
それぞれの分野の研修は、1分野15時間、2~3日が目安となります。
小規模の保育園に勤務するメリットとデメリット
小規模保育園は、1人あたりの保育業務の負担が少なく、行事やイベントに追われて忙しい日々を送る保育士さんの転職先として、注目されています。
小規模保育園の方針は比較的自由で、大規模保育園よりもアットホームで、子どもたちものびのび過ごせる環境です。
メリットも多い小規模保育園ですが、デメリットも存在するため、その両方を把握した上で転職を考えていきましょう。